2013年4月11日木曜日

実は結構難しい個人事業の青色申告決算は分かりやすい記帳から

以前にも書きましたが、個人の青色申告決算には法人よりも分かりにくいところがあります。

それは貸借対照表を見れば分かるように、「資産の部」と「負債・資本の部」がいずれも期首と期末に別れているというところでした。
この点について、以前は「会社で言えば、損益に合わせて毎年直接、減資をしたり増資をしたりするような感じです」と説明しましたが、もっと分かりやすく考えれば、年度ごとに事業をリセットをするということになるかもしれません。
「リセット」と言っても期末で全てチャラになるという意味ではもちろんなく、今年の元入金=前年の元入金+事業主借-事業主貸±損益、ということでしたが、元入金というのは株式会社における資本金に相当するものであり、事業主貸は株主が受け取る配当金に相当するものになります。

ようするに事業で儲けが出て(あるいは出なくても)、そこから家計にお金を出すような場合、事業主に(つまり自分で自分に)配当金(融資の返済と考えてもよい)に相当する事業主貸を支払い、その合計が差し引かれ残ったお金が翌年の資本金に相当する元入金として期首に計上されるというわけです。
一方で資金不足になって家計から事業へお金を出す場合、増資(融資と考えてもよい)に相当する事業主借として計上され、その合計が元入金に加えられるわけです。

以上のように考えると、一般の株式会社決算と共通するものが見えてくるのではと思います。
ちなみに、株式会社が誕生した頃も一つの事業が終了する度に株主に配当金を払って清算をしていたらしいのです。
ただし、このとき注意しなければならないのは、上記の「今年の元入金」を出す計算式を見ても分かるように「事業主貸/借」と「税金が算出される事業の損益」は別である、ということです。
この点を明確にするために事業主貸/借という考え方が導入されているのであって、これを混同して考えてしまい、事業主貸を経費として利益から差し引いてしまうと脱税になってしまいますので、この点だけは誤解なきようにして下さい。
自分の事業に対して「貸/借」という語は変だと思いますが、損益と明確に切り離して考えてもらうためにこういう用語になったのかもしれませんね。


ところで、なぜ再びこの話をするのかというと、「個人事業で、銀行口座・クレジットカードをプライベートと事業とで分ける必要はない。なぜならば、事業主借として計上すればいい」という記事を読んだからです。

これは全くその通りです。
クレジットカードは手数料無料のものが容易に作れるので、個人の買物が記載された明細と分けたいという場合は別に作ってもいいかもしれませんが、銀行口座は同じ銀行のものを二つ作る必要はないと思います。そこまでやるのなら会社を作った方がいいかもしれません。

ただ、これも以前に書きましたように年度途中の事業主借と事業主貸の記載は結構面倒なものです。
したがって、上記のような個人事業の青色申告決算の特性を考えた場合、事業主借は期首(1月1日)に、事業主貸は期末(12月31日)にまとめて計上するのが簡単なのではないかと思います。

ただし、これが可能なのは資金にある程度の余裕がある場合で、元入金としてまとまった額を入れておくことで年度途中で事業主貸/借を計上しなくて済むということです。
こうすると、仕訳帳と元帳は大変分かりやすいものになります。

なお、「資金にある程度の余裕がある場合」といっても、銀行の通帳と仕訳帳の食い違いがでないようにするためであり、現金であるならば期末にきちんと数字が合えばそれほど厳密にやる必要はないと思います。
「個人用と事業用で常に二つの財布を用意せよ」などという人もいるらしいのですが、そこまですることはないでしょう。
そもそも日々のお金の流れにおいて、家計と事業資金が混同するのを防ぐためにわざわざ複式簿記で記帳するのですから、最初から財布で分けるのは本末転倒というものです。

あくまで個人事業の記帳なのですから、事業会計として正確であるならば、家計が入り込んで分かりにくくなるよりも事業におけるお金の流れの記録としての明瞭さを優先させた方がいいのではないかと思います。

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